こんにちは、ベーシストのEmmieです♪
TAB譜を見ながらこんなことを思ったことはないですか?
「見たことない記号がいっぱいある」
「どれが重要なのか分からない」
「いきなり弾き始めたけど何か違う気がする…」
TAB譜にはその曲を表現するために様々な情報が書かれていますが
3つのポイントを抑えておくことで、とてもスムーズに読むことができます。
この記事では、TAB譜の特徴と3つのポイントについて解説します。
【はじめに】TAB譜で分かる、押さえる場所と音の長さ
すでにご存じの方は、サラっと読み飛ばしてくださいね^^
ベースTAB譜はベース専用の楽譜で、音符が書かれた五線譜よりも直感的に分かりやすいことが特徴です。
4本の横線はそのままベースの弦、線の上に書かれた数字はフレット番号を表しています。
下の図をご覧ください。譜面には横線の一番下に「3」と書れています。
これは「4弦の3フレットを指で押さえてください」という意味です。
押さえる場所が分かったら、次は音をどれだけの長さで弾くかを読み取ります。
下の譜面をご覧ください。
音符の形に注目すると、それぞれ違う形をしていますね。
この形の違いで、音をどれだけ伸ばすかが分かります。
また、音符の間にある変な形の記号が休符です。
この休符は、どれだけ休むかを表しています。
音の長さ・休符の長さを意識しながら聞いてみましょう。
このように、音の長さは数字から伸びた棒、数字を囲んだ丸枠・休符などから判別します。
※形は五線譜と共通しています。
そのため、ベースTAB譜を読むためには「音の長さのルールを覚える」ことが必要です。
規則性があるので一度覚えたらとても簡単です。
※音の長さの種類は後ほどご紹介します。
ちなみに平行線が5本あるベースTAB譜は5弦ベース用の譜面です。最近は5弦ベースの楽曲も多いですので、お持ちでない方はご注意くださいね。
ベースTAB譜を効率よく読むには
TAB譜に書かれた弦とフレット番号の意味が分かると、すぐにでも弾きたくなりますよね!
でもTAB譜にはベースライン以外に、事前にチェックしておきたい指示や記号があるんです。
この基礎編では、初心者の方にとって大事な情報を厳選し、効率良くTAB譜を見ていく方法をご紹介させていただきます。
【ポイント1】曲の指示をチェック
まず注目していただきたいのは譜面の上部にある曲の指示、具体的にはテンポ・チューニング・拍子の指示です。
1.テンポの指示をチェック
テンポは、原曲の速さに合わせるために必要なとても重要な記号です。
譜面の左上にある「速度記号」がテンポの指示です。
厳密には「4分音符が1分間に80個入る速さで演奏する」という意味なんですが、よくわかりませんよね。
その速さで音を鳴らしてくれるのがメトロノームです。メトロノームアプリなどで「80」と指定します。
テンポ80の楽曲のイメージはこのような感じです。
●テンポ80
ゆったりしたバラードのようですね。
試しに同じ曲をテンポ190にするとどうなるでしょう。
●テンポ190
ぜんぜん違いますよね。テンポが上がるだけでロックっぽい雰囲気になりますね。
ちなみに最近のヒット曲のテンポはこのとおり。
楽曲 | テンポ |
---|---|
「Lemon」米津玄師 | 87 |
「Pretender」Official髭男dism | 92 |
「マリーゴールド」あいみょん | 106 |
「Dynamite」BTS | 114 |
「紅蓮華」LiSA | 138 |
「恋」星野源 | 158 |
「うっせぇわ」Ado | 178 |
「前前前世」RADWIMPS | 190 |
イメージ通りだったでしょうか、それとも想像より速かった・遅かったでしょうか。
速度記号は曲の雰囲気を左右する大切な記号です。
ベーシストは特に、テンポをキープすることが大切な役割としてあるので
必ずチェックするようにしましょう♪
2.チューニングの指示をチェック
ベースの基本的なチューニングは太い弦から順にE(ミ)、A(ラ)、D(レ)、G(ソ)に合わせることになっています。これをレギュラーチューニングといいます。
特別なチューニングである場合、譜面上部にこのような指示が書かれています。
これは全部の弦を半音下げる「半音下げチューニング」の指示です。
音を確認してみましょう。
全部の弦の音が半音下がっています。
この指示を見逃してしまうと譜面とベースと音の高さが合わなくなってしまうため、必ずチューニング指示を確認をしてからチューニングを行います。
主なチューニングの種類 | 楽譜の表記 | チューニング (4弦→1弦) |
---|---|---|
レギュラーチューニング | 記載なし | E、A、D、G |
半音下げチューニング | Half Step Down/Tuning Half Down | E♭、A♭、D♭、G♭ |
ドロップDチューニング | Drop D Tuning | D、A、D、G |
ドロップDチューニングの楽曲は少ないですが、半音下げチューニングの楽曲は結構多いです。ボーカルのキーが低かったり、5弦ベースの低音を4弦ベースで再現したいときなどにこのようなチューニングになります。
チューナーによっては、♭ではなく♯で表示されることがあります。半音下げチューニングは「D#、G#、C#、F#」です。
3.拍子の指示をチェック
TAB譜の始まりに書かれた、分数のように縦に2つ並んだ数字を「拍子(ひょうし)」といいます。
「拍子」とは、均等の間隔で刻まれる「拍(はく)」に周期的に強い部分を生じさせたもので、それを読みやすいように線で区切ったものが「小節(しょうせつ)」です。
下の数字(分母)が1拍の単位になる音符、上の数字(分子)が1小節あたりの拍数を表しています。
J-POPでよく登場する拍子を2つご紹介します。
●4分の4拍子(よんぶんのよんびょうし)
J-POPに限らず最も多くの曲で使用されている拍子です。1拍の単位が4分音符、1小節あたりの拍数が4拍で、「1・2・3・4・1・2・3・4」という周期で強い拍(アクセント)が登場しながら進行します。
●4分の3拍子(よんぶんのさんびょうし)
次によく登場するのは「4分の3拍子」です。1拍の単位が4分音符、1小節あたりの拍数が3拍で、「1・2・3・1・2・3」という周期で強い拍(アクセント)が登場しながら進行します。
4分の4拍子のように「1234〜」でリズムを取るとずれていってしまいますので、この小節が何拍子で進行するのかをチェックするのはとても大事なことです。
曲中での拍子の変化も要チェック
この譜面では、4小節目だけが「4分の2拍子」になり、5小節目からまた「4分の4拍子」に戻っています。4小節目に注目して聞いてみましょう。
この譜面のリズムの数え方は「1・2・3・4|1・2・3・4|1・2・3・4|1・2|1・2・3・4」です。
すべて4カウントで数えてしまうと4小節目に入るタイミングがずれてしまいます。
曲の途中の拍子の変化は実は珍しいことではなく、ポピュラーな曲(秦基博さんの「ひまわりの約束」やスキマスイッチの「奏(かなで)」など)でも登場しますので、拍子の指示は必ずチェックするようにしましょう、
【ポイント2】曲の構成・入り方・終わり方を把握しよう
ポイント1で曲のルールを確認したら、次は曲全体の構成を確認します。
楽曲はAメロ・Bメロ・サビなど複数のセクションで構成されており、主に8小節や16小節単位で変化していきます。
演奏前に曲の構成を把握しておくことで「今どこ演奏してるんだっけ?」と迷子になりにくいです。
セクションの範囲をチェック
小節の左上に書かれているセクション名やセクション番号(数字・アルファベット)でセクションを把握していきます。
セクション名の例
- Intro … イントロ(前奏)曲の始まり。
- A … Aメロ
- B … Bメロ
- C … サビ
- D〜 … 大サビ、その他のメロディ
- Inter … インター(間奏)1番と2番のつなぎ目など。
- Solo … 楽器のソロパート。Ba.Solo、Gt.Soloなどパートが書かれている場合もある。
- Ending … エンディング(後奏)アウトロともいう。
「Intro」とベースが入る小節をチェック
ベースは必ずしも「Intro」の一番初めから入るとは限りません。最初はギターやピアノで静かに始まり、ベースは途中から入るという楽曲もよくあるので、自分がどの小節から弾き始めるのかチェックしておきます。
構成の確認時に、拍子・テンポの変化も見ておこう
曲の始めには必ず拍子とテンポが書かれていますが、曲の途中で拍子やテンポが変わることもあります。そのため、構成を確認するときに一緒に確認しておきます。
「Ending」で曲の終わり方をチェック
曲の最後のセクションである「Ending」は、「Intro」と同じくらい重要な部分です。曲の終わり方に関係する記号をご紹介します。
●終止線
曲の終わりを示す縦線です。小節の右側に細い縦線と太い縦線が1本ずつ並んでいます。
●rit.(リット)&フェルマータ
「rit.(リット)」はテンポを次第に落としていくことを指しています。曲の終わりなどで演奏がだんだんゆっくりになっていくときに書かれます。
「フェルマータ」は半円の中に点がある目のようなマークで、こちらも曲の終わりなどでよく使われます。指示は「テンポに関係なく演奏者のタイミングで程よく伸ばす」ですが、音源と合わせる場合は原曲をよく聴きながらタイミングを合わせて演奏します。
●F.O.(フェードアウト)/Repeat & F.O.(リピート&フェードアウト)
F.O.(フェードアウト)は曲全体の音量が徐々に小さくなって終わるときに書かれます。
Repeat & F.O.はリピートマークで囲まれたフレーズを繰り返しながらフェードアウトで終わっていくときに書かれます。どちらも音源と合わせる場合は、曲に合わせて小さくなって終わります。
バンドで演奏する機会があれば、メンバーと相談しながら終わり方のアレンジを考えたり、アーティストのライブバージョンを真似したりするのも楽しいですよ♪
【ポイント3】TAB譜のベースラインを読み取ろう
大変お待たせしました。曲の指示、全体の構成が分かったら、いよいよベースラインの確認です。
ベースラインを読むには押さえる場所と音の長さについての理解が必要です。
押さえる場所①TAB譜の平行線が弦、数字がフレット数を表す
最初にご紹介したように押さえる場所はTAB譜の平行線と数字から読み取ることができます。弦は細くなるほど、フレットは数字が大きくなるほど音が高くなっていきます。
押さえる場所②数字の0は「開放弦」を表す
フレット番号は「1」から始まりますが、TAB譜には「0」も登場します。
0は「開放弦(かいほうげん)」といって、フレットを抑えずにそのまま弦を弾くことを指しています。特に4弦の0はベースの中で一番低い音で、楽曲にもよく出てきます。
音の長さ①音符と休符の種類
音符は、数字を囲む丸枠や数字から伸びた棒などで違いを見分けることができます。初心者の方にまず覚えていただきたいのは、こちらの5種類の音符と5種類の休符です。
最初の「全音符」が1小節分の長さを表し、全音符を2分割した音符が「2分音符」、4分割した音符が「4分音符」という分け方をします。休符も同じルールです。
●音符と休符の長さ
音符の種類 | 読み方 | 音の長さ |
---|---|---|
全音符 | ぜんおんぷ | 1小節分の長さ(基準となる長さ) |
2分音符 | にぶおんぷ | 全音符を2分割した長さ |
4分音符 | しぶおんぷ | 全音符を4分割した長さ |
8分音符 | はちぶおんぷ | 全音符を8分割した長さ |
16分音符 | じゅうろくぶおんぷ | 全音符を16分割した長さ |
休符の種類 | 読み方 | 音の長さ |
---|---|---|
全休符 | ぜんきゅうふ | 1小節分の長さ(基準となる長さ) |
2分休符 | にぶきゅうふ | 全休符を2分割した長さ |
4分休符 | しぶきゅうふ | 全休符を4分割した長さ |
8分休符 | はちぶきゅうふ | 全休符を8分割した長さ |
16分休符 | じゅうろくぶきゅうふ | 全休符を16分割した長さ |
音の長さ②音の長さが1.5倍になる「付点」
音符の右側に点が付いている音符「付点音符(ふてんおんぷ)」といい、「もとの音符の長さ」+「その2分の1の長さ」、つまり1.5倍の長さで弾きます。
例えば上記のように4分音符に付点が付いている「付点4分音符(ふてんしぶおんぷ)」は、「4分音符+8分音符の長さ」で弾きます。
よくあるリズムパターンとして、1拍目と3拍目に付点4分音符が付いている場合の音の長さを文字にするとこのような形になります。
同じルールで、付点2分音符は「2分音符+4分音符の長さ」、付点8分音符は「8分音符+16分音符の長さ」を表します。
付点の種類 | 音の長さ |
---|---|
付点2分音符 | 2分音符+4分音符 |
付点4分音符 | 4分音符+8分音符 |
付点8分音符 | 8分音符+16分音符 |
音の長さ③音符を繋げる音楽記号「タイ」
「タイ」とは、同じ高さの複数の音をつなぐ弧線です。タイで繋がれた音符は一つの音符として演奏します。
この譜面は4番目と5番目の音符がタイで一つになっているので、
「 タ タ タ タ ー タ タ タ 」という音の長さで演奏します。
また、タイは小節をまたぐこともあります。
文字で表すと「 ター ター ター タタ|ータ ター ター ター 」となり、赤い字のところで小節をまたいでいます。
音の長さ④音符を短く切る「スタッカート」
音符の真上に付いた点は「スタッカート」の印です。
「スタッカート」は本来の音符の長さよりも短く演奏することを指しています。
この譜面では1つ目と3つ目に点が付いているので、「タッタータッター」という風に音を短くして演奏します。
8分音符を前半スタッカートなし・後半スタッカートありで聴き比べてみましょう。
スタッカートありの方が、リズミカルな感じがしますね。
いろんな楽曲で登場するので、余裕ができたらぜひチャレンジしてみてくださいね。
【補足】バウンス・ビートの指示について
テンポの指示の横で、このような記号を見たことがありますか?
実は曲全体のノリを左右する重要な指示「バウンス・ビート」の指示です。
よくリズムを伝えるときに「この曲はハネてて〜」と言ったりしますが、この「ハネ」は「バウンス」を指しており、「弾む・跳ねる・バウンドする」という意味があります。
※8分音符のバウンスビートは「シャッフル・ビート」と言うこともあります。
「バウンス・ビート」は、イコールの右側に書いてあるように「3連符」を2:1の音の長さで弾くので、まず3連符のリズムを理解する必要があります。
また「バウンス・ビート」はセクション全体や曲全体をこのリズムで演奏することが多いので、譜面が3連符でごちゃごちゃしないように、置き換えた形で記載されます。
以上のことから初心者の方には難易度が高いリズムと言えますが、J-POPでも多くの楽曲で登場するかっこいいリズムなので、まずは指示の意味だけでも覚えていただけたらと思います。
バウンス・ビートについては別の記事で改めてご紹介させていただきます♪
【まとめ】3つのポイントでレッツトライ!
以上で基礎編はおしまいです。長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
TAB譜を読む上で大切な3つのポイントを川柳でまとめたいと思います。
指示を見て 構成見てから 音符見よう!
最初は時間がかかるかもしれませんが、色んな楽曲に触れることで必要な情報が自然と分かるようになり、読むスピードも早くなっていきます。
譜面が読めるようになるとベース演奏がもっと楽しくなりますので、ご自身のペースで楽しみながら譜面を覚えていっていただけたら嬉しいです♪
この記事が少しでも演奏の参考になりますように!